トイレの神さまは沖縄だけじゃない!アジアのトイレの神さま

トイレ

沖縄には、「フール」という、とんでもない力を持った神さまがいます。ところがアジアの国には、沖縄のようにとんでもない力を持ったトイレの神さまが存在します。あまり知られていないトイレの神さまに注目です!

沖縄版トイレの神さま

沖縄のトイレの神さまは、「フールの神さま」と呼ばれています。フールの神さまは、家の中を守ってくれる神様の中でも、強い霊力を持っている神さまと言われており、様々な魔物や悪霊をすべて払ってくれるありがたい神さまと言われています。

もともとは豚小屋にあった沖縄のトイレ

戦前までの沖縄のトイレは、屋外に設置されていました。屋外にトイレが設置されていること自体は、日本全国で見るとそれほど珍しいことではありません。ただし、沖縄の場合は、トイレと豚小屋が合体した「豚小屋兼トイレ」。

もちろん、豚小屋の中で用を足すということではなく、あくまでも用を足す部分と豚が飼育されている部分は分かれています。もう少し詳しく説明すると、人間が用を足すトイレの部分は豚小屋の上の部分にあり、その下に豚小屋がいて、効率よく飼育が出来るようになっていたようです。このようなちょっと不思議なスタイルのトイレは、中国の文化の影響があるといわれています。

もともと沖縄は、中国をはじめとする東アジア貿易によって栄えた独立国・琉球王国でした。特に中国との貿易は、経済だけでなく政治的な役割も多く、中国からの使者を国内でもてなすことは、当時の琉球王朝にとって国益につながる国家プロジェクトでした。そんな中国からの使者をもてなすために、琉球王国では、様々な中国の文化を学び、それを琉球独自の文化として発展させてきた歴史があります。

このような時代背景から考えてみると、一見するとミスマッチに思われる「トイレ&豚小屋」の組み合わせも、当時の琉球人にとってはそれほど珍しいことではなかったのかもしれません。

フールの神さまは亡くなったマブイを探してくれる

沖縄では、人間が健康な状態で生きていくためには、体の中にきちんとその人の魂が存在していることが重要であると考えています。この「魂」は、沖縄では「マブイ」と言われています。

マブイは、実は非常に厄介な存在で、生まれた時に誰もが持っているはずなのに、ちょっとした拍子ですぐ体から飛び出してしまいます。小さな赤ちゃんの頃は、くしゃみをするだけで口からマブイが飛び出してしまうので、そばにいる母親たちが慌てておまじないをして、赤ちゃんのマブイを体の中に引き留めるようにするくらいです。

そんなマブイも、人間の成長とともに少しずつ体に定着していきます。それでも、ひどく驚いた時や大きなショックに見舞われた時などは、本人の気が付かないうちにマブイを落としてしまうことがあります。でも、マブイが体から離れてしまった状態では、悪い魔物や悪霊が体の中に入り込んでしまい、最悪の場合は死んでしまうことも…。

ところが、マブイは目に見える物ではありませんから、いつ、どこでマブイを落としてしまったのかわからないこともあります。例えば、事故に遭ったり大けがをした場合は、その現場にマブイが落ちています。でも、マブイはちょっとしたことでもすぐに体から離れてしまいますから、本人の気が付かないうちに、何かの拍子でマブイが落ちてしまうこともあります。こうなってしまうと、どこにマブイを落としてしまったのか、皆目見当がつきません。

このように、マブイを落とした場所がどうしてもわからない時にお願いするのが、フールの神さまです。

フールの神さまは、落とし場所の分からないマブイでも、ちゃんと見つけてくれる上に、きちんとマブイを体の中に戻してくれるものすごい力を持っています。そのため沖縄では、マブイの落とし場所がわからない時にはフールの前に行き、そこでフールの神さまにマブイ込め(マブイを体の中に戻す祈祷)をします。

フールの中の豚も凄い霊力があった

トイレ兼豚小屋ですから、フールの神さまがいるトイレには豚も住んでいます。実は、フールに住んでいる豚にも、とんでもない力があるといわれています。

フールに住む豚の鳴き声には、悪霊や魔物を追い払う力があるといわれていて、人間の後ろからこっそりと後をつけてきた魔物や悪霊も、豚の「ブーブー」という鳴き声を聞くと、その場から逃げ帰ってしまうのだそうです。そのため、お葬式の帰りなどは、自宅に入る前に必ず豚を鳴かせ、魔物や悪霊をその場で払ってから家の中に入る風習があったそうです。

日本神話版・大便から生まれたトイレの神さま

日本には、八百万の神がいるといい、神さま誕生にまつわる伝説も数多く残されています。その中には、神さまの大便から生まれたトイレの神さまが存在します。

土の神さまでもある日本神話のトイレの神さま

日本の国づくりをした偉い神さまといえば、イザナミがいます。このイザナミは、兄であり夫でもあるイザナギとの間にたくさんの神さまを産みます。ところが、火の神様を生んだ時に大やけどを負ってしまったことが原因で病に倒れ、そのまま死んでしまいました。でもイザナミの凄いところは、死んだ後も、尿や便、吐しゃ物から様々な神さまを産み続けたということです。

実は日本神話のトイレの神さまも、死んだ後の大便から生まれた神さま。イザナミの大便からは男女1人ずつの神さまが生まれ、男の子を波邇夜須比古(はにやすびこ)、女の子を波邇夜須比売(はにやすびめ)と言います。この2人のトイレの神さまは、生まれた時からずっとペアで過ごし、トイレの神さまとしてだけでなく、土の神さまとしても信仰されています。

中国版・ものすごい美人のトイレの神さま

中国には、「紫姑神(しこしん)」というトイレの神さまがいます。紫姑神は、ものすごい美人の女神さまだといわれており、今でも中国では広く信仰されている神さまです。ただし、トイレの神さまになった理由には、少々悲惨な彼女の人生が関係していました。

本妻の壮絶ないじめ

紫姑神は、トイレの神さまになる前は、とある人の妾だったといいます。見た目に美しい女性だった紫姑神は、家の本妻の激しい嫉妬を買い、辛い仕打ちを受けます。嫉妬に狂った本妻は、事あるごとに紫姑神を呼びつけ、家の中の汚くつらい仕事ばかりをさせ続けます。そんな毎日に耐え切れなくなった正月十五日に、紫姑神はトイレで自ら命を絶ってしまいます。

その後、なぜかそのままトイレに住み続けるようになってしまった紫姑神は、きちんとお参りをすると、人々に幸せをもたらす神さまになりました。可哀そうな人生を過ごしてきたのに、死後、人々のために力を貸してくれる紫姑神。生きている時から、とても心の優しい人だったんでしょうね。

中国のトイレの神さまは未来を占う

中国版トイレの神さまである紫姑神は、未来を占ってくれる神様として人々の間で人気がある神様です。紫姑神に未来を見てもらう時は、トイレで命を絶ってしまった妾の魂を呼び出すことから始めるといい、そのための道具として人形を使います。

人形をもってトイレに行ったら、「ご主人様はお留守。本妻も里帰り。お妾さん、いらっしゃい」というような意味のおまじないを唱えます。すると、手にしている人形が急に重たくなります。これが、トイレの神さまがやってきた証拠になります。そこで果物やお酒などを供えると、人形にとりついた神さまは喜んで飛び跳ねます。この時が、未来を占ってもらうチャンス!なんでも紫姑神に未来を占ってもらうと、驚くほど当たるのだとか…。中国のトイレの神さまも、なかなかすごい力を持っていますね!

実は豚小屋にも紫姑神がいる?

中国では、トイレ以外にもトイレの神さまである紫姑神を呼び出すことが出来るのだといいます。それが、豚小屋。

これは、沖縄の「豚小屋兼トイレ」が中国のトイレ事情にも共通していたからというよりは、人間だったころの紫姑神が、トイレと豚小屋の掃除を毎日させられていたことに関係するのだといいます。


いかがでしたか?世界には様々な神様がいて今も風習や言い伝えが色濃く残っているところもあります。沖縄では何か事故を起こしたりした時などにマブイ(マブヤー)を落としてしまったからマブイを取らなきゃとおまじないをする風習がおじぃおばぁの世代に残っていたりします。若い世代になるとそんんなの知らないという方も増えてきているのが現状です。

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