映画「ハクソー・リッジ」の舞台・前田高地とは

戦争

アカデミー賞で編集賞と録音賞の2部門を受賞した、メル・ギブソン監督の映画「ハクソー・リッジ」の舞台は、沖縄県の浦添市にある前田高地。日米両軍に多くの犠牲者を出した前田高地は、一体どんな場所なのでしょう?

映画「ハクソー・リッジ」の舞台・前田高地

映画「ハクソー・リッジ」は、第二次世界大戦中に日本軍とアメリカ軍との激戦を、実話を元に綴った作品です。この映画の舞台は、沖縄県。

沖縄県の激戦といえば、ひめゆり学徒隊の悲劇をイメージする人が大半だと思うのですが、この映画では、那覇市の隣に位置する浦添市前田高地にある「ハクソー・リッジ」での戦いが舞台となっています。

「のこぎり崖」と呼ばれたハクソー・リッジ

ハクソー・リッジの「ハクソー」とは、のこぎりの意味があります。名前からわかるように、この崖は、150mを超える断崖絶壁です。

実はこの岩は、沖縄では「為朝岩」と呼ばれています。のこぎりのように切り立ったこの崖からは、日本軍の司令部が置かれていた首里城だけでなく、遠くは知念半島まで見渡せる断崖絶壁です。しかも、戦車が入ることができないほど岸壁の東側に位置する為朝岩は、まさに自然要塞であり、ここでの戦いは日米両軍にとって沖縄戦の成否をかけた命がけの激戦となりました。

前田高地はどこにある?

悲惨な戦いの跡が県内各地に残る沖縄。ところが、映画の舞台である前田高地の激戦は、意外なことに、映画が公開されるまでは、県内でもあまり知られていませんでした。

ニードルロックと呼ばれた為朝岩

映画では「ハクソー・ロック」という表現になっていますが、当時の為朝岩は、米兵の間では「ニードルロック」と呼ばれていました。

ハクソー・リッジも今は閑静な住宅街

映画の部隊となっている前田高地は、現在の浦添市消防署と浦添警察署があるあたりです。ここは「前田集落」がある場所で、集落の北側に広がる高地を、前田高地と呼んでいます。

前田高地の北斜面は、戦車が入ることができないほどの絶壁が広がっており、歩兵隊であっても、縄はしごをかけよじ登るしか、進むことができない難所でした。

そんな断崖の東部に石柱のようにそびえ立っているのが、為朝岩です。現在、この周辺には、閑静な住宅街が広がっています。

戦車が入ることすらできないほどの断崖も、現在では大半が削り取られていますので、当時の面影を日常の生活の中で見つけることはほとんどありません。戦時中に国民学校がおかれていた場所は、現在、「浦添小学校」が建っており、周囲には、大型ショッピングセンターなどが集まる「経塚地区」や、近年再開発が進む「安波茶地区」などがあります。

映画「ハクソー・リッジ」を見る前に立ち寄りたい浦添の戦跡

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映画では、主人公であるデズモンド・ドスを通して、前田高地で行われた激戦の様子を知ることができます。実際の前田高地に足を運んでみると、実は、為朝岩以外にも、その激戦を知ることができる戦跡があります。

賀谷隊陣地壕

為朝岩のすぐ近くには、賀谷隊の陣地壕があります。

壕内は、縦横無尽に岩が掘られ、壕内ではたって歩けるほどの広さの場所もあります。現在でも、当時の戦闘指揮所が残っており、前田高地の戦闘の一端を垣間見ることができます。

浦添大公園

前田高地のすぐ近くにある浦添大公園からは、前田高地一帯を見渡すことができます。園内には、トーチカの銃座が今も複数残っています。

賀数高台公園

同じく浦添市賀数にある賀数高台公園には、現在でも中に入ることができる「トーチカ」が残っています。

トーチカとは、ロシア語で「点」や「拠点」を意味する軍事用語です。防御の要としてトーチカの中に数人の兵士が、銃を構えて敵を攻撃します。

沖縄戦の敗北を決定付けたといわれるほどの激戦が繰り広げられたのが、賀数の戦いです。トーチカのすぐそばには、普天間飛行場を見ることができる展望台もあり、改めて沖縄の平和について考えさせられる場所となっています。

現役米兵も足を運ぶ前田高地

2017年のアカデミー賞では、主演男優賞・監督賞ほか5つの小児ノミネートされた映画「ハクソー・ロック」。

日本での公開は2017年6月24日ですが、すでに海外では映画が公開されています。その影響なのか、映画が公開されて以降、県内各所で、花を持って慰霊のために戦跡に足を運ぶ現役米兵の姿が増えてきたように思います。

今後、前田高地の存在は、映画の舞台としてだけではなく、平和について考える場としても注目されていくことでしょう。

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